「Sustainable Yawatahama」取材メモ ①大澤テント・シート商会

スタッフ・竹下です。八幡浜市ふるさと観光公社では現在、「Sustainable Yawatahama」と題した観光パンフレットの制作を進めています。“100年続く食の現場”と、“未来に残したいまち・ひと・歴史”をテーマに、八幡浜の暮らしや魅力を伝えるとともに、当公社が提供する各種の体験プログラムを紹介するつくりとなっています。このパンフレットを通して、より多くの方が八幡浜に興味を持ってもらうとともに、八幡浜の農家さんや漁師さんが大切に育てた産品や、こだわりの職人がつくり上げた商品を味わったり、使ったり、あるいは様々な体験を通して地域の人たちと交流してもらうことにより、八幡浜との新しい“関わり方”を見つけていただければと思っています。

パンフレットの制作を進めるにあたっては、100年以上続く温州みかん栽培や、トロール漁業をはじめとした農林漁業、またその加工、販売に携わってきた方々、そして八幡浜で受け継がれてきた歴史や文化を守ってきた方々など、たくさんの方々に取材をさせていただきました。本当にいろいろな話を聞いたので、パンフレットの限られた紙面には収まりきらないこぼれ話、裏話がたくさんあります。それを今回から少しずつ、「取材メモ」としてまとめていきたいと思います。
※パンフレットは3月頃に完成予定です。
※現在、当公社が提供する各種の体験プログラムは、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、受入を中止しています。

第1回目に登場するのは、「大澤テント・シート商会」さんです。
当公社の体験プログラムのラインナップには、「梅美人酒造さんに教わる、酒蔵体験」というものがありますが、大正7(1918)年創業の梅美人酒造さんのお向かいにあるのが、「大澤テント・シート商会」さんです。何度か打合せなどで梅美人酒造さんを訪れるたび、ガラス戸越しに奥のほうでミシンと向き合う方がいて、ずっと気になっていました。そしてあるとき、少し勇気を出して引き戸を開けて声をかけると、大澤タマ子さんとその娘の恵美さんが親切にいろいろと教えてくれました。

「大澤テント・シート商会」さんは、その名の通りテント・シート製作専門店で、テントはもちろん、みかん収穫用の採集袋やトロール船のシートなど、八幡浜ならではのオーダーに応えて100年近くになります。みかん農家さんにとってお馴染みの採集袋は、白い布でできた肩かけベルト付のものや、木にかけられる丸型タイプなどたくさんの種類があり、いろいろな柑橘に対応できるようにしています。しっかりと手入れをすれば何年も使えますが、木の枝などが引っかかり、破れてどうしても使えなくなった場合には、修理もしてくれるそうです。ただ、ここでつくっていることを知らない人も多いようで、直接農家さんが持ち込むケースは少ないそうです。それでも、何年も使い込んでボロボロになった袋を、まだ使いたいからといって大切に持ってきてくれるのをみると、何とも職人冥利に尽きる思いがするそうです。

みかんの採集袋。右側のタイプは、底が開いてそのままコンテナに収穫物を移せるようになっている。

大澤さんのところでは、トロール船で使うシートのほか、伊方町の海士(あまし、素潜り漁師のこと)が使う浮き輪のカバーなど漁業関係のオーダーのほか、トラックの荷台シートや個人宅の日除けシートなど、さまざまなオーダーに柔軟に対応しています。そんな話をいろいろと聞くうち、「大澤テント・シート商会」さんの100年は、まさに“食の現場”と深く関わり、“未来に残したいまち・ひと・歴史”そのものに他ならない、ということに気づきました。早速タマ子さんと恵美さんにパンフレットの趣旨を説明し、そこに載せたい旨を相談すると、「私たちでよければ」と、二つ返事で快諾してくれました。

大澤タマ子さん(右)・恵美さん(左)親子

校正刷りを見せにいくと、裏表紙をみて、「こんなに大きく載せてもらえるとは思わなかったよ、ちゃんとお化粧しとけばよかった」とタマ子さん。話し出したらよどむことなく次の言葉が出てくるタマ子さんの話は実にリズミカルで面白く、娘の恵美さんとの掛け合いも巧妙で時の経つのを忘れます。こんな親子が気になる方は、お気軽に声をかけてくださいとのこと。3時のおやつの頃合いが狙い目です。