「Sustainable Yawatahama」取材メモ ③真穴地区のみかん農家・飯田繁人さん・衣美さん

スタッフ・竹下です。八幡浜市ふるさと観光公社では現在、「Sustainable Yawatahama」と題した観光パンフレットの制作を進めています。“100年続く食の現場”と、“未来に残したいまち・ひと・歴史”をテーマにしたもので、たくさんの方々に取材をさせていただきました。その取材中に見聞きした、パンフレットには収まりきらないこぼれ話、裏話がたくさんあるので、「取材メモ」としてご紹介しています。

第3回目に登場するのは、真穴地区のみかん農家・飯田繁人(しげと)さん・衣美(えみ)さんご夫妻です。
奥さんの衣美さんとは、昨年度四国運輸局と連携して実施した「体験型観光コンテンツ造成事業」で知り合いました。急増するインバウンド(訪日外国人旅行者)向けの新しいコンテンツ(体験プログラム)をつくることが目的で、市民のみなさんが主体となっていろいろなアイデアを出し合い、チームを組んで具体的なプランへとまとめ上げ、最終的に専門家のアドバイスを得ながらブラッシュアップするというものでした。

飯田さんご夫妻は、日本屈指のみかん産地である八幡浜市の中でも、その品質が高く評価されている「真穴みかん」の生産者です。そしてみかん栽培の傍ら、「みかん愛」と「ふるさと愛」が高じた衣美さんは、日々みかん山からSNSを通じた情報発信に取り組んでいます(facebookページ「大好き『真穴みかん』)。そんな衣美さんが提案したのは、普段は入れないみかん山から望む宇和海の絶景や、みかん農家さんならではのバックヤード見学、そして自慢の「真穴みかんジュース」の試飲などを通して、みかん農家の暮らしや喜びをシェアするとともに、産地の誇りとそこで生産するみかんのすばらしさを感じてもらいたいという、生産者ならではのアイデアでした。

衣美さんのこのプランは、別途八幡浜市が導入し利用促進を図っていた「E-BIKE」(スポーツタイプの電動アシスト自転車)を絡めることで、日本農業遺産にも認定された「愛媛・南予の柑橘農業システム」に特徴的な、宇和海沿いの急傾斜地に広がるみかんの段々畑の光景も存分に楽しめる「佐田岬E-BIKEガイドツアー」として商品化されるに至りました(現在は、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から受入を中止しています)。そして昨年10月には、全国から参加者を募ったモニターツアーを実施し、そこで飯田さんご夫妻にもガイドとして活躍してもらいました。

モニターツアーの参加者にみかん園地を案内する飯田さんご夫妻。

宇和海沿いの景色と風をE-BIKEで楽しみながらやってきた参加者は、まず飯田さん宅のバックヤードに案内されました。たくさんの工具類やコンテナが整然と並ぶみかん農家さんならではの空間で、まず衣美さんが八幡浜市のみかん栽培の歴史や特徴、真穴地区について紹介してくれました。その後、自家用に収穫した極早生みかんを使って、繁人さんが「家庭選果機」を実演してくれました。収穫したみかんは、真穴地区の共同選果場である真穴共選に出荷し、光センサーで外観・味ともに厳しい基準をクリアした上、熟練の目で最終チェックを受けたものが消費者のもとに届くようになっていますが、共選に出荷するみかんは、前もって自宅で選別しておく必要があります。その選別に使うのが「家庭選果機」です。機械を動かすと、サイズに応じてみかんが振り分けられて、どんどんコンテナが埋まっていきます。モニターツアーの参加者はもちろん、はじめてみる自分にとっても興味深い光景です。

「家庭選果機」の使い方を説明する繁人さん。

その後、自宅裏のみかん園地に移動して、実際に栽培しているみかんをみせてもらいました。収穫2ヵ月前のみかんは青々としていて、まだ小さいながら潮風と太陽をたっぷり浴びてすくすくと育っています。参加者の中には北海道から来た方もいて、はじめて樹に生るみかんをみて感動しているようでした。そして最後は、こうやって大切に育てられた真穴みかんのジュースを試飲させてもらいましたが、その濃厚な甘みにみなさん驚いていました。

温州みかんの生育状況を参加者に説明する繁人さん。

飯田さんのお宅訪問を皮切りに、2泊3日のモニターツアーは無事終了し、参加者のみなさんからは非常によい評価をいただくことができました。小さな改善点はいくつかありますが、衣美さんが当初描いた、みかん農家の暮らしや喜び、産地の誇りとみかんのすばらしさは存分に感じていただけたのではないかと思います。

コロナ禍で、“ひとの交流”に主眼を置くわれわれの活動は大きなダメージを受けていますが、このモニターツアーの成功は、われわれの進むべき方向がまちがっていなかったことを改めて教えてくれました。新しいパンフレットを通して、「佐田岬E-BIKEガイドツアー」に興味を持っていただいたお客さんといっしょに、みかん山の中腹にある飯田さんのお宅までの坂道を、E-BIKEで軽快に駆け上がる日が早く来ることを願っています。

※パンフレットは3月頃に完成予定です。