「Sustainable Yawatahama」取材メモ ⑥日土東地区の地域おこし協力隊・仁禮誠さん

スタッフ・竹下です。八幡浜市ふるさと観光公社では現在、「Sustainable Yawatahama」と題した観光パンフレットの制作を進めています。“100年続く食の現場”と、“未来に残したいまち・ひと・歴史”をテーマにしたもので、たくさんの方々に取材をさせていただきました。その取材中に見聞きした、パンフレットには収まりきらないこぼれ話、裏話がたくさんあるので、「取材メモ」としてご紹介しています。

第6回目に登場するのは、日土東(ひづちひがし)地区の地域おこし協力隊・仁禮 誠(にれい まこと)さんです。
神奈川県出身の仁禮さんは、大学卒業後に秋田県の林業会社に就職し、5年間現場で林業の技術や知識を深めました。その経験を活かし、山に囲まれた日土東地区を盛り上げるべく、令和元年度から地域おこし協力隊として日土東地区の活性化に向けた取り組みを進めています。

仁禮さんとは、昨年度四国運輸局と連携して実施した「体験型観光コンテンツ造成事業」で深く関わるようになりました。急増するインバウンド(訪日外国人旅行者)向けの新しいコンテンツ(体験プログラム)をつくることが目的で、市民のみなさんが主体となっていろいろなアイデアを出し合い、チームを組んで具体的なプランへとまとめ上げ、最終的に専門家のアドバイスを得ながらブラッシュアップするという事業でした。

そのとき仁禮さんのチームが立てたのは、八幡浜市最高峰であり、その中腹に日土東地区の7つの集落が点在する出石山(いづしやま)の山道をトレッキングし、標高812mの山頂に位置する金山出石寺(きんざんしゅっせきじ)の宿坊に泊まる「出石寺トレッキング」というプランでした。諸々の理由により、このプランは実現できませんでしたが、それに代わるものとして、「日土東里山の田舎料理体験」という体験プログラムが商品化されました。

日土東地区の里山での季節の野菜収穫体験。

山深い日土東の里山で、季節に応じた野菜や山菜などを収穫するところから始め、それらの食材を使って、地元でよく食べられている田舎料理づくりに取り組むプログラムです。献立は時期により異なりますが、日土東地区で昔から家庭料理として愛されている「手延べうどん」や、イリコ(煮干)を使った「イリコ飯」(炊き込みご飯)などを予定しています(現在、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から体験の受入は中止しています)。

「日土東里山の田舎料理体験」の料理完成イメージ。

仁禮さんとは今年度も、日土東地区を舞台とした新たな観光コンテンツについて考える機会がありました。環境省との連携事業で、JTIC.SWISS代表であり、世界トップレベルの観光ノウハウを広めるため全国各地を駆けまわっている観光カリスマ・山田桂一郎さんをアドバイザーとして迎え入れたのです。

山田桂一郎さん(中央)に日土東地区の説明する仁禮さん。左は竹下。

山田さんの徹底的な指導のもと、まずは今後日土東地区が目指すべき姿を明確にした上で、そのために必要な戦略を検討し、それを実践するための戦術を整理しました。その一環で、金山出石寺周辺の自然環境を活用したエコツアーについて具体的なプランを組み立てることができましたが、ここでは一度諦めた「出石寺トレッキング」の発想が活かされることになりました。

出石山山頂(金山出石寺)から望む瀬戸内海。

山田さんの理路整然とした指摘は説得力の塊で、仁禮さんも自分もインスパイアされた部分は途轍もなく大きかったと思います。山田さんによって導き出されたプランが実現するかしないかは、これからの仁禮さんの取り組みにかかっていると思いますが、できる限りわれわれも近くに寄り添いながら、仁禮さんの力になっていきたいと思っています。

仁禮さんには、同じ神奈川県出身であったり、山や林業が好きという共通点から勝手に親近感を抱いていますが、その持ち前の明るさは到底自分には真似できない大きな魅力で、地域のひとたちから愛されているのがひしひしと伝わってきます。一見その見た目やキャラに目が行きがちですが、地域のことを第一に考えながら、地域の声に具に耳を傾け、ときに裏方に徹する謙虚な姿勢は、本来“地域おこし”に求められる大きな素養だと思います。

※パンフレットは3月頃に完成予定です。